2012年05月21日

日本画の空間描写 (上原近代美術館)

静岡県下田市にあります上原近代美術館にて、5/23日まで開催です。

まずは「日本画」という言葉が明治時代に油彩画が日本に入ってきて
区別するために生まれた言葉だということを知りました。
それまでは、伝統的な流派があった為「流派」で区別していたようです。

説明を読んでいて面白いな、と思ったのが
「余白の中に厳しい線描を引き、対象の本質に鋭く迫る」という一文です。
これは小林古径や前田青邨(写真の蕪の絵)の作品にありました。

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小林古径の作品は、くっきりと明瞭で、色も鮮やかなところが大好きです。
この「くっきり」に見えるのが「厳しい線描(輪郭線?)」であり
「明瞭」に見えるのが「対象の本質に鋭く迫っている」ということなんだと
分かり、大変納得しています。

今回は古径の作品で、猫のいる柿の木が描いてあるものがとても可愛らしく
こんな愛らしい作品も描くのだと意外な発見でした。
柿の葉が色とりどりで、ガラスでできた木の置物のように綺麗な葉でした。

対して、横山大観の作品は「没線描写」と説明があります。
「夜桜」(1947年)や雪山の絵で今回は見ることがきますが、
ぼかしで空間を表現するのです。
「夜桜」はかがり火と桜の枝が描かれてる作品で、暖かく煙っている空気の
中に桜が浮き上がり、まだ寒さはあるけど夜でも緩んできた気候を感じることが
できます。
雪山の絵は確か墨絵だと思いましたが、雪山の厳しい感じを単純に白黒という
色だけで表現しているのではなく、濃淡のぼかしが冷たい湿気をおびた
靄や霧のように山々を包み込み、画面の空気全体の冷たさを感じることができました。

日本画は静物や動植物をたっぷりの空間をとって描いている作品が多いと
思います。つい物が描かれているところに目が向いてしまいますが
何も描かれていないと思われる空間にもよく見ると絵の具が置いてあり、
しかも微妙な濃淡をつけて描かれている。
それは対象の中から醸し出されるオーラであったり、対象をより明確に
みせる為の技法のようなものであったりするのだと思いました。

絵は平面だし、洋画のような遠近法ではないけれど、空間の使い方で
立体感が表現できることを知り、日本画の奥深さを感じる展示会でした。


上原近代美術館:http://www.uehara-museum.or.jp/calendar/ca.html

posted by ひまわり at 09:56| 東京 晴れ| Comment(0) | TrackBack(0) | 静岡県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年05月20日

都民広場の「早蕨」 佐藤忠良

東京都新宿区にあります東京都庁に「都民広場」があります。
現在女性像の彫刻が何体か設置されています。
設置スペースだけ設けてある箇所もあるので、これからまだ増えそうです。

佐藤忠良さん(1912ー2011年)の彫刻、「早蕨」(1980年)。

P1000552.JPG

ぐるっと廻ってみて、斜めからの背中越しの角度が一番気に入りました。

P1000551.JPG

いくつ位の女性でしょうね。
少女ではないけど、成熟したという感じでもない。
この少し肉厚の背中とまとめてあるけど否応無しに豊かすぎることが
分かる髪にさわやかな色気を感じます。


都庁見学のご案内:
http://www.yokoso.metro.tokyo.jp/p-art/artwork.htm

posted by ひまわり at 11:37| 東京 晴れ| Comment(1) | TrackBack(0) | 東京都 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年05月16日

棟方志功展(平塚市美術館)

神奈川県平塚市にあります平塚市美術館にて6/3日まで開催です。
市制80周年の記念展です。

青森県立美術館でも見た作品が何点か来ていて
「またお会いしましたね」というちょっと懐かしい感じと共に
青森で見た時とは違う感じも受けました。
やはり現地で見た時の方が、より濃密に作品を鑑賞できた気がします。
特に青森の風土をモチーフにした作品は尚更。
作品たちも貸し出し等で青森を出ることは多いと思うのですが
いつもと違う場所に少し恥ずかしがって展示されているように見えます。

「華厳譜」(1936年)
六曲一隻の屏風。色々な花が四角の中に刷られてていて、色も鮮やかな
原色です。

「二菩薩釈迦十大弟子」(1939年)
こちらは黒一色で刷り上げたもの。釈迦の弟子達が六曲一双の屏風の
長方形の中に縦に刷られています。皆押し込められたように、首を曲げたり
体を曲げたりしたポーズを取っています。
ちょっとおちゃらけ気味に見える弟子もいて、それぞれの性格の違いまでも
彫り分けているようです。

群鯉図(1940年)
こちらは紙に筆で描いた作品。
青森県の浅虫温泉で泊まった宿にあった鯉の家族の絵に色をつけたような
絵で、とても似ていました。小さめの可愛らしい鯉たちです。

東海道棟方版画(1964年)
依頼を受けて東海道五十三次の風景を版画にした作品です。平塚を挟んで
近辺の風景作品が何枚か展示してありました。浮世絵とはまた違った
版画の線の風景は素朴な感じがしました。

P1000615.JPG

「門世の柵」(1968年)
写真の作品です。この目と眉毛の青がとても印象的なんです。
周囲がぼかしてあるところや、とても深い青に見えるのが不思議です。
紫がかってもいる綺麗な青ですね。

館内で映像の上映があったので見に行きました。
確かベートーベンの曲だったと思いますが、チャンチャン♪とお囃子のように
歌いながら、えらくご機嫌に作品に色を乗せたり、ばれんを動かして刷り上げたり
していました。顔が笑っている訳ではないのですが、全身から楽しそうな空気が
出ていて、自分の世界に没頭している様に凄みを感じました。
「天才」ってこうゆうことかも。

平塚市美術館:http://www.city.hiratsuka.kanagawa.jp/art-muse/

posted by ひまわり at 22:54| 東京 晴れ| Comment(0) | TrackBack(0) | 神奈川県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする